今回は、関東某所で世にも珍しいアカハジロとメジロガモの雑種が見られるという噂を聞き、観察に行って参りました。
メジロガモ Aythya nyroca は、国際自然保護連合(IUCN)レッドリストで準絶滅危惧種(NT)に指定されている世界的な希少種です(2019年6月19日時点)。
そして、もっとヤバいのがアカハジロ Aythya baeri です。
こちらは、IUCNレッドリストで絶滅寸前(CR)にランク付けされており、成鳥個体数はなんと、150〜700羽程度と推定されています(2019年8月15日時点)。
観察に訪れた環境は、何ということの無い都市河川。本当にこんなところに幻の鳥はいるのか??
いざ、知人から教えてもらったポイントへ、下流から鳥を見ながら上がって行くと…

本当にいました! メジロガモとアカハジロの雑種です!!
それにしても、こんなピンポイントに居座っているとは…
決定版日本のカモ識別図鑑によると、メジロガモ×アカハジロ♂生殖羽br.は、下記のような特徴が出るようです。
頭部は赤味と緑色味が混じり、脇の前縁部はぼんやりと淡色だがアカハジロのような明確な白い食い込みではない。
氏原巨雄・氏原道昭, 2015. 決定版日本のカモ識別図鑑 , p. 300. 誠文堂新光社. 東京
改めて見てみると、図鑑どおりの出で立ちです。
深みのある赤緑色は珍品の風格を纏う良さがあり、夢中でシャッターを押しまくります。


アカハジロの減少要因としては、越冬地となる湿地の開発や狩猟などが指摘されています。
また、近年、純粋な個体は雑種よりも観察される機会が少なくなっており、ホシハジロやメジロガモなどの近縁種との交雑も減少に拍車をかけていることでしょう。
彼らの生息環境を守ることが最も大切なことですが、我々アマチュアにできることは、その姿を記録に残すことだと思います。
詳細な記録こそが、私にできる最大限の保全活動であるという信念をもち、今後も自然と関わって生きたいと思います。
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